RFK / RFK Funeral Train/ Paul Fusco

2020年7月15日、ポール・フスコが亡くなった。89歳だった。血気盛んな写真家が多いマグナムの組織の中、驚くほど穏やかで物静かな性格の人だった。季節労働者、エイズやチェルノブイリなどの社会問題を掘り下げて取材していたが、日本のみならず、世界中圧倒的にその名が知られるようになったのは、写真集『RFK  Funeral Train』による。1968年、大統領候補ロバート・ケネディが暗殺された。亡骸を運ぶ葬送列車がニューヨークからワシントンDCまで移動する途中、沿道に集まる人々を列車の窓から撮影した一冊である。この写真集の原型は、暗殺30周年を機に、マグナム・フォトが「自費出版」した、カラーコピーを綴じたものだった。撮影当時、フスコは雑誌『LOOK』の専属写真家だった。単独取材を成功させたにもかかわらず、タイミングを逸したという理由で当時写真はボツにされた。日の目を見るまで実に30年かかった訳だが、あれよあれよという間に評判を呼び、ヨーロッパで写真展が開催され、2000年には出版社Umbrageからきちんとした「写真集」の体裁で出版され、その後、暗殺40周年には、写真出版社の大手、Apertureから装い新たに再販される運びとなった。様々な人種の、様々な階級のアメリカ人が心をひとつにした風景が綴られた逸品。(小川潤子)