The Road to Reno / Inge Morath

 

マリリン・モンローとクラーク・ゲーブルの遺作となった曰くつきの映画『荒馬と女』(1961年公開)。組合の縛りが無かった当時、9名のマグナム所属写真家が、撮影現場を取材した。アンリ・カルティエ=ブレッソンと二人組を組んだインゲ・モラスは、ニューヨークから撮影地ネバダ州リノまで、18日間をかけて車で移動することに。フランス人のカルティエ=ブレッソンとオーストリア人のモラスにとっては、異国の地のロードトリップ。語学を得意としたモラスは(中国語を含む7ヶ国語を駆使したことで知られる)、母国語では無かった英語で、道中訪れた各地の様子を取材メモとして残している。映画撮影現場のリノで彼女は、後の結婚相手、アーサー・ミラーと初めて出会う。原作者でもあったミラーは、この作品を、当時の妻マリリン・モンローのために書き下ろしたのだったが、結婚生活は破綻しかけていた。これはこれで後のドラマなのだが、写真集『Road to Reno』は、二人の若いヨーロッパ人の目に写ったアメリカが新鮮に捉えられている。(小川潤子)