Blackout New York / Rene Burri

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1933年スイス生まれのルネ・ブリは、1963年に撮影した葉巻を燻らせるチェ・ゲバラの写真で知られる。ロバート・フランク『アメリカ人』を手がけた編集者ロベール・デルピールは、それに続くシリーズとしてブリの『ドイツ人』を1962年に出版。活躍の場を欧米だけでなく、中東やアジアまでにも広げていた。1965年11月9日夕方5時頃、ニューヨークを突然停電が襲った。街は通勤客が家路を急ぐ時間帯だった。現場にいたブリは、フラッシュを持たずに、表へ。ろうそく、マッチ、ライター、懐中電灯、車のライトなど、その場にあるだけの光を用いて、真っ暗な中、撮影を敢行した。目に「見えるもの」と「見えないもの」を、白黒のネガフィルムに焼き付けた。写真は光を捉える技術である。デジタル撮影が主流となった現在、カメラの機能はISO感度を自由に操れるようになり、光量を考慮する必要はあまりなくなった。(小川潤子)